カヤック一人旅:淀川水系編 その1

2020年1月10日

趣味でカヤック一人旅をしております。行きたい所に一人で行ってみるというのが私のカヤックスタイルです。カヤックを始めた経緯から、実際に淀川水系を漕いだ様子を綴りたいと思います。奥琵琶湖をスタートして琵琶湖を縦断し、瀬田川・宇治川・淀川を経て大阪湾にたどり着き、さらに瀬戸内海を姫路まで漕ぎました。ちょっとしたアドベンチャーです。

1.カヤックを始めた経緯

東京都内で勤務していた頃、ボランティア活動として「川を中心とした(表にした)街づくり」運動をしていました。その主な舞台は、隅田川・神田川・日本橋川です。平成3年から平成10年まで、活動を続けました。その後、職場が大阪府内になりましたが、川の活動は東京都・大阪府の両方で続けていました。

1-1.「日本の川を旅する」を読んで

その時ですが、急に川の中に入ってみたくなりました。野中知佑著「日本の川を旅する ~カヌー単独行~」を読んだ影響が大きいです。

勝手気ままに川や海の上に浮かんで旅するスタイルは、何とも憧れました。「自然に勝る遊び場はない」、どこかで聞いたことのあるフレーズですが、まさにその通りでした。

1-2.兵庫県立海洋体育館にてカヤック練習

カヤックを漕ぐ練習をしないといけませんが、全くの素人でしたのでカヤック講習を検索してみました。すると芦屋市海岸部にある兵庫県立海洋体育館にて、1日カヤック講習を実施していることがわかり、早速申込をしました。 そこでごくごく基本的な操作を覚え、最低限度の漕ぐスキルを身に付けました。人に教えてもらったのは、この日限りです。ここではカヤックのレンタルもしていますので、毎週日曜日に来ては練習をしました。川や海を漕いでいる途中で「沈」(川や海に落水)することも想定し、わざと「沈」してカヤックに這い上がる練習もしました。

兵庫県立海洋体育館練習場(芦屋市)

1-3.淀川水系を漕ぎたいと思う

その時に何故かわかりませんが、淀川水系を漕いでみたいという思いがふつふつと沸き上がりました。奥琵琶湖からスタートして琵琶湖を縦断し、川下りをして大阪湾までを考えていました。まさか姫路まで漕ぐことになるとは、その時は考えていませんでした。 カヤックのスキルは徐々に上達していきましたが、所詮人工島に囲まれ、守られた環境での内海です。実際に自然の川や海に出ると思わぬ事態に遭遇するものと覚悟して挑まなければなりません。実際に数々の思わぬ事態に会いました。それは後述します。

2.カヤック選定・運送手段検討

次に考えないといけないことは、カヤックの運送手段と宿泊地です。奥琵琶湖をスタート地点にしますが、当初電車での行き帰りを想定していました。しかし、どうせ漕ぐなら数日間位、連続して漕いでみたいと思い、宿泊をどうするのかを考えました。そこで浮上してきたのが、キャンピングカー案です。

2-1.カヤック選定

カヤックについては、二人乗りを考えていました。基本的に一人旅ですが、旅先で乗ってみたいという人が現れた場合に対応できるようにしたかったからです。ただし、二人乗りの場合には長さがかなりあります。収納するにも困るので、組立式を選択しました。通常は、カバンの中に入っているタイプです。 モンベル製の「ボイジャー」というカヤックを購入することにしました。初めてのマイカヤックです。

組立式カヤックとキャンピングカー

2-2.運送手段選定

連日、漕ぐことを想定しましたので、宿泊と運送を同時に適えてくれるキャンピングカーを考え始めました。随分と高くつく趣味となりますが、キャンピングカーがありますと、気兼ねなく遠出ができます。宿泊の心配をしなくてもよくなるのが、最大のメリットです。川や海のそばで生活ができますので、水面の様子や風向きなどを肌で感じることができます。 当初、普通車で牽引するタイプのものを考えていましたが、駐車場が2台分縦列で必要になることから止めました。インテックス大阪で毎年、アウトドアフェスティバルが開催されますが、そこで出会った中古車のキャンピングカーに一目ぼれしました。その場で即手付け金を払い、売買契約成立です。それはトヨタのトヨエースというトラックにアメリカ製の部屋を搭載したキャブコンタイプです。

2-3.キャンピングカー設備

流し、ガスコンロ、ガスヒーター、ガス式冷蔵庫、トイレ、シャワー設備が付いています。ベッドも4人分確保できます。運転席の上部に2人分、ソファーを倒して水平にして2人分です。もっとも運転席上部は、カヤックの収納カバンやその他の装備品の物入として使用していました。 壁には淀川水系の地図を貼り、いつでも川や海での航行ルートを考えながら作戦を立てる場にしました。

3.カヤック一人旅のスタイル

準備が概ねできましたので、いよいよカヤック一人旅のルート選考です。先ずは、5日間ほどかけて琵琶湖の西湖岸沿いを縦断する予定を組みました。JR湖西線を使うことができるからです。

3-1.全体ルート

下図は実際に漕いだルート図です。今振り返ってみても、よく一人で漕いだなあと思います。その分、色々なリスクが生じましたが、生き延びました。

カヤック一人旅:全体ルート図

3-2.カヤック一人旅のスタイル

カヤックを漕ぎ進めるスタイルですが、終点近くの駐車場にキャンピングカーを駐車します。そこで台車にカヤック収納カバンや装備品一式を積載します。台車を転がしながら最寄り駅に向かい、電車に乗り、始点近くの駅で降ります。そこから湖岸部に向かい始点に到着です。カバンからカヤック組立部品を取出して組立ます。風向きを確認してから着水し、目標地点に向けてスタートします。

3-3.カヤック一人旅の目的

冒頭にも書きましたが、野中知佑著「日本の川を旅する」を読んだことがきっかけとなり、おもむろに川や海に入りたくなりました。あと私は日本史が大好きです。特に山岡荘八、吉川英治、司馬遼太郎の三大歴史小説家の本を愛読しています。山岡荘八歴史文庫:100巻、吉川英治歴史文庫:85巻は全て読みました。司馬遼太郎歴史文庫:300巻のうち、50巻までは読みましたが、全て読もうと思っています。

それらを読んでいると、江戸時代までの歴史舞台は、まさに淀川水系です。古代より淀川を通して大陸から文化が入ってきました。様々な史実が淀川水系を中心に展開しました。その足跡を川から辿ってみたいという思いもありました。それをこれからやってみようと思います。

いよいよ奥琵琶湖の「永原」を出発しますが、詳細は次回の記事に綴りたいと思います。

Δ次回記事「カヤック一人旅:淀川水系編 その2:奥琵琶湖出発」は画像をクリック