カヤック一人旅:淀川水系編 その3:琵琶湖縦断

2020年1月10日

前回は、カヤックにて奥琵琶湖の永原を出発し、竹生島を横目に見ながら近江今津に到着した様子を綴りました。今回はその続きで、近江高島→志賀→堅田と中継しながら、琵琶湖南端の石山に到着するまでの様子を綴ります。改めて琵琶湖縦断の旅のルートは下図の通りです。

Δカヤック一人旅:琵琶湖縦断ルート図
Δ前回記事「カヤック一人旅:淀川水系編 その2:奥琵琶湖出発」は画像をクリック

7.カヤック一人旅:漕ぐ前に琵琶湖の様子を確認

昨日キャンピングカーを駐車していた道の駅「びわ湖大橋米プラザ」にて車中泊し、目覚めと同時に琵琶湖の様子を窺います。幸い今日も晴れて、絶好のカヤック日和となりました。湖岸のすぐそばに立ち、風を肌で感じながら天候・風向きを予測します。不思議なもので、カヤックを始めてから川辺や海辺に立つ機会が増えますと、自然と天候の先行きが読めるようになります。西の空の雲の様子や風向き、空気の乾燥・湿気具合で感じ取ることができます。特に注意を要するのが風向きです。進行方向から逆風を受けますと、自分の体が帆になってしまい、進めなくなります。それどころか全然違う方向へ持っていかれることもあります。実際にそのことを明石沖で漕いでいる時に経験し、大変な目に会いました。その体験談は後述します。

キャンプングカーに戻り、先ずお湯を沸かします。朝飯をパンと珈琲で軽く済ませます。キャンピングカーのコンロ、冷蔵庫、給湯器、部屋の暖房はガスで賄います。5Lガスボンベを2本積載していますが、これで約1週間生活ができます。ただし、ガス式冷蔵庫はなかなか冷えず、ビールもあまり冷えません。

昨日の湖上航行ではミネラルウォーター2L2本では足りなかったので、3本準備して臨むことにします。準備が整ったところで、ベースキャンプ地である道の駅「びわ湖大橋米プラザ」を出発して、今日のカヤック到達点である近江高島へ向かうことにします。

Δキャンピングカー車内の様子

8.カヤック一人旅:琵琶湖縦断

近江今津→近江高島→志賀→堅田→石山と、カヤック琵琶湖縦断一人旅の様子を一気に綴ります。漕いでみて琵琶湖の大きさを改めて実感しました。

8-1.カヤック一人旅2日目:近江今津→近江高島

JR湖西線近江高島駅と湖岸の間にある駐車場にキャンピングカーを停めて、電車で出発地である近江今津に向かいます。2日目のルートは下図の通りです。

Δ2日目ルート図:近江今津→近江高島

今日のルートは、琵琶湖に対して半島状に出っ張った地形を廻りこむルートになります。先ず500mほど沖合に出まして、ゆっくりと漕ぎ始めます。

半島状の地形はキャンプ場になっていまして、遠目からも家族連れでバーベキューなどを楽しんでいる様子がわかります。中にはキャンピングカーで来ている家族もありました。車体からシートを出して日除けの屋根代わりにし、団らんしている様子も窺えます。小さな子供が、こちらのカヤックに気付いたらしく、大声でこちらに向けて何かを叫んでいますが、遠すぎて何を言っているのかよくわかりません。適当に両手で丸のサインをすると、納得したらしく?親もとへ戻りました。

風も穏やかで波も無く、無事に近江高島に到着しました。

Δ2日目の航海を終えて(近江高島護岸)

8-2.カヤック一人旅3日目:近江高島→志賀

3日目のルートは下図の通りです。

Δ3日目ルート図:近江高島→志賀

近江高島を出発して沖合500m地点を漕いでいますと、西からウィンドサーフィンをしている女性が猛スピードでカヤック前方を通過しました。今日は西からの風があり、その風を捉えて真っ直ぐ対岸に向かってウィンドサーフィンが進んでいきます。いったいどこまで行くんだろうと思いながら見ていましたが、戻る様子はなく見えなくなりました。それから1~2時間ほど漕いだ時、今度は東からウィンドサーフィンをしている女性がカヤックの後方を通過しました。先ほどの女性です。スピードと時間から推測すると、その女性は琵琶湖の西岸から東岸に到達し、また戻ってきたことになります。

後ほど知りましたが、ヨットやウィンドサーフィンは、どこから風が吹いても行きたい方向へ行くことができます。前から向かい風が吹いても帆の角度を調整することにより斜め前に進むことができ、ジグザグに向かい風に対して進むことができます。理屈は数学のベクトルの応用になります。

「すごい人がいるもんだ」と思いながら、無事に志賀に到着しました。

8-3.カヤック一人旅4日目:志賀→堅田

4日目のルートは下図の通りです。

Δ4日目ルート図:志賀→堅田

志賀を出発してしばらくすると、前方からカヤック5艇ほどのグループがやってきました。「何のグループですか?」と尋ねると、カヤックの初心者講習とのことでした。しばらく湖上で話をしていましたが、奥琵琶湖から大阪湾まで行く途中であることを告げると、カヤック講師の方もびっくりしていました。「そんな人は初めてだ」と言われ、自分でも「そんなに無謀なことをしているのかなあ?」とも思いながら、あまり気にせず前に進むことにしました。

そういえば、この辺りは堅田衆という船団が昔存在しました。源義経が兄の源頼朝から追われる身となり、潜伏していた京から竹生島に逃げ渡る経緯は前回に綴りました。その時に手助けをしたのが堅田衆です。ひょっとして、さっきのグループは堅田衆の子孫なのかなあとも思いながら、漕ぎ進めました。

Δ湖上から見る琵琶湖大橋

目的地近くになると、前方に琵琶湖大橋のお目見えです。琵琶湖の西岸と東岸を結ぶ唯一の橋です。ベースキャンプ地である道の駅「びわ湖大橋米プラザ」も右手に見えます。琵琶湖大橋の下を潜ると、今日の目的地である堅田に無事到着しました。

8-4.カヤック一人旅5日目:堅田→石山

5日目のルートは下図の通りです。

Δ5日目ルート図:堅田→石山

琵琶湖縦断の最終日です。堅田を出発すると、前方は滋賀県の県庁所在地である大津市街地だけに、目印となる高層ビルが良く見えます。当時のプリンスホテルですが、現在はその名称のままかどうかはわかりません。夏に琵琶湖でも花火大会が催されますが、プリンスホテル高層階からの眺めは最高らしいです。

Δ湖上から見るプリンスホテル

しばらく漕ぐと、東から大きな船が近づいてきました。琵琶湖遊覧船「ミシガン」のお目見えです。これ位の大きさの舟になりますと、通過した後の波がそこそこ高くなります。案の定、高い波がやってきてカヤックがしばらく揺らされました。

Δ湖上から見る琵琶湖遊覧船「ミシガン」

国道の橋を潜りJR東海道線の橋も潜ると、終点「石山」です。これで淀川水系編の第一部である「琵琶湖縦断カヤック一人旅」は終わりです。

9.カヤック一人旅:琵琶湖縦断のまとめ

初めてのカヤック一人旅の舞台が琵琶湖であったことは、私にとって非常に良い経験となりました。危険なことが何も起こらなかったことが何よりでした。ただ一点悔やまれるのは、初日の旅で竹生島に上陸できなかったことです。源義経の潜伏先がどういう環境にあったのか、実際にそこに立ってみて体験してみたかったです。

また、高島でのウィンドサーフィンの姉ちゃんには感動しました。これが後日、カヤックに帆を搭載するきっかけになります。帆で風を掴むコツを習得するために、兵庫県立海洋体育館でヨット講習を受けることになりました。

ここからいよいよ川下りが始まります。仕事の都合で一旦帰途に就き、川用の装備に入れ替え、改めて石山からカヤック一人旅を再開します。琵琶湖縦断の旅は平穏無事で終始しましたが、川下りである瀬田川→宇治川→淀川の旅は波乱万丈となりました。その様子は次回で綴りたいと思います。